可愛いキミの美味しい召し上がり方



「相良さん!」


目当ての教室に着くと、1人の男子が私に気づいて駆け寄ってきた。


「玲央、今日休みだって。」

「え…?」

「今さっきメール来てさ。なんか風邪ひいたらしくて。熱出てけっこう重症みたい。」


ケータイを見せながら、親切に教えてくれたのは玲央くんの数少ない男友達であるタイチくんだ。

玲央くんの中学時代からの親友で、ひとなつっこくて気のいい男の子。


「珍しいよな。アイツが休むなんて。初めてかも?」


確かに。

一見病弱そうな玲央くんだけど、ああ見えて、毎年“皆勤賞”。

今まで、寝込むような風邪をひいたことがないんだよね。


「てか、玲央のやつ、なんで相良さんに言わないでわざわざ俺にメールして来たんだろう?」

「へ?」

「相良さんが俺に聞きに来るとか…初めてじゃん?なに?ケンカでもした?」


……うっ。何げにするどいね、タイチくん。


「いや…。今日はちょっと寝坊して…ケータイも忘れちゃって。」

「ふぅん…。ま、いいや。見舞いには行くんでしょ?今日の分のノートとか、放課後渡すから。」

「えっ?あ…うん。」


家に行くのはちょっと気まずいけど…。仕方ない、か。



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