可愛いキミの美味しい召し上がり方



玲央くんに触れて。
その感触に甘い幸せを感じたのも束の間。


「……ん?」


私が唇を離したのとほぼ同時に、ゆっくりと玲央くんの瞳が開いて。まっすぐに私を捉えた。


「!?」


……えっ?起こしちゃった…の?


「マコちゃ…?」


ど…どうしよう?

バレた?いや、落ち着け。まだそうと決まったわけじゃ…ない。

玲央くんの目、とろんとしてるし。熱あるわけだし。

すぐにこの状況を把握できるわけな…


「今、何か…した?」

「…っ!?」

「顔、近い…」


……ダメだ。

前科者の私。この不自然すぎる距離。

これはちょっと厳しいかもしれない…


「ち…違うの。私は…コレ。そうコレを替えようと思って…」


苦し紛れに、慌てて玲央くんのおでこの冷えピタに手を伸ばしてみたけれど…


「マコちゃん…」


これは絶対に誤魔化しきれそうにはない。

潔く謝るしかない!


「玲央くんごめ…」


一歩離れて、頭を下げようとした。その瞬間――


「…わっ!」


ぐいっと。身体が引き寄せられて。バランスを崩した私は思わず前に倒れ込んだ。

そして、なぜか……


「…んっ」


唇に再びあの感触を感じていた。



……え?



< 30 / 43 >

この作品をシェア

pagetop