会えないとき

優花の部屋まで入ると赤坂は適当に
腰を下ろした

部屋の中をくるくると見回し
「かわいい部屋だね」と赤坂がつぶやいた

優花は学校用の鞄を片付けながら
「そんなことないよ」と笑顔で返した

しかし赤坂はそれに対し、部屋のことを誉めるばっかりだった

「これからなにするの?」
優花はふと気になりそう赤坂に問いかけた

「んー、じゃあDVDでも見る?」
「あ、いいよー、うちあんまDVDないけど」
赤坂はじゃあ、と言うようにして一つのDVDを手に取った
「これみたいな」
と赤坂は優花に恋愛映画のDVDを差し出してきた

優花は少しなにかを考えるようにして
「うん!見よう」と返した

優花にDVDを再生するように赤坂は頼まれ
赤坂は再生しようとリモコンの再生ボタンを押した

「これちょっと見たかったんだよね」
と赤坂は少し微笑んで言った

「うちもこの映画大好き!亮と見れて嬉しい」
「え?」
「あ、いやなんでもないよ」

優花は途端に自分の口が滑ったことを恥ずかしく思った

映画が始まったあとも、優花は少しドキドキしていて集中出来ていなかった

赤坂はただじーっと映画を見ているだけで
こちらには一度も視線を変えてこなかった

しかしそんな赤坂に少し変化があった

「ねぇ優花」
突然名前を呼ばれ、返事をすると
「俺いまちょっとドキドキしてる」
赤坂は胸の当たりを押さえてそう言った

「え?なしたの?」
と優花は少し戸惑うように返すと
「いや、なんでもない。ごめんね?」
「あ、大丈夫だよ。うちこそなんかごめん」

2人の間に少しの重い沈黙が流れた

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