イケメン王子の花メイド






——「あらぁ、おかえりなさいっ」



屋敷へと帰ると、茜さんが笑顔で私と棗様のもとへ駆けて来て下さった。




「どうでしたかぁ?お散歩っ」


「なかなか気分が良くなったな」


「あらぁ!それは良かったですっ」




パチリと茜さんと目が合うと、彼女は嬉しそうに笑うのだった。


……一緒にお散歩に行けて、良かったなぁ。




「花」


「え、あ、はい!」


「また一緒に散歩行こうな」




そう言ってまた大きく胸が高鳴るような笑顔を向けるのです。


こんなにもドキドキしてしまう。




「は、はい!ぜひ!」


「よし」




棗様が前にいると、しっかり顔を上げて歩いて行けます。


私はこの先も、ずっと棗様のもとで前を向いて歩いていきたいと思いました。



ずっと。


メイドとして。





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