イケメン王子の花メイド
『はい』
インターフォンから叔母さんの声が聞こえた。
その瞬間、私の心臓は大きく跳ねる。
「お、叔母さん……私です、沢田花です」
『……』
返事はなく、ただそこには沈黙が流れた。
私は冷や汗を掻きながら、なんとか喉から声を振り絞った。
「叔母さん……少し、出て来れませんか?」
『……え?』
「話したいの……叔母さんと」
するとまた声は聞こえなくなった。
きっと、叔母さんは私と話したくないに違いない。
……でも、諦めるわけにはいかないんだ。
『……分かったわ。少し待ってて』
そう聞こえると、インターフォンは切られた。
私はパッと棗様を振り返る。
「良かったな」
優しく微笑んだ棗様を見て、私の緊張は一気に解かれた。
少し涙目になりながら、棗様に頭を下げる。
「ありがとうございます棗様っ!」
でも、本番はこれから。
ちゃんと話せるように……頑張らないと。