イケメン王子の花メイド




「……はぁ」




溜息をついて、私は公園のベンチに座る。

小さな池があるこの公園は、よく人が来るようで。



そばで小さな子供が楽しそうに鬼ごっこをして遊んでいた。




……これからどうしよう。

叔母さんと暮らしたくないな…。



きっと一緒に暮らしたとしても、私は他の三人の子供のようには扱ってもらえないだろうし。



……辛いだけだ。




「……うっ…」




涙が溢れてくる。



やっぱり悲しい。

辛くて、私も死んでしまいたくなる。


もう一度、お父さんとお母さんに会いたいよ……。






「お嬢さん、お隣いいかな?」





不意に上から声が降ってきて、私は顔を上げた。


そこには、とても優しそうに微笑んでいるおじさんが立っていた。




……誰だろう。



「ど、どうぞ…」


「ありがとう」





そう言ったおじさんは、ゆっくりと私の隣に座った。



見た目は40代くらい。

とても綺麗なコートを着ていて、オシャレな帽子まで被っている。



…お金持ちなのかも。





「…何か辛いことでもあったのかい?」


「……え?」





ニッコリと微笑むおじさん。


……あ、私が泣いてたからか。

話せば、少しは落ち着けるかな…。




「ちょうど退屈しててね。私とお話してくれないかい?」




――私はおじさんに話すことにした。



< 3 / 314 >

この作品をシェア

pagetop