私たち、政略結婚しています。



俺は振り返って佐奈を見た。

「佐奈、あの…」

「おっお休みっ。じゃあね」

彼女は今にも泣き出しそうな顔で笑った。

それを見て胸が締め付けられる。

だが何を言えるというのか。
このまま佐奈をここに縛り付けても亜由美の気が収まらないだろう。


そのまま彼女はくるりと背を向けると寝室に戻って行った。

パタン。再び閉まるドア。

俺は追うことも出来ずにずるずるとその場に座り込んだ。


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