私たち、政略結婚しています。




「……やめてよ…、もう……」

それだけ呟くと、佐奈は部屋を飛び出した。

そのまま玄関まで駆けて行き、裸足のまま外へ出る。

「佐奈!!」

俺も彼女を追って飛び出す。

先ほどまで晴れていた空が、どんよりと暗く曇りゲリラのような雨が地面を打ち付けていた。

マンションの外へと逃げて行った佐奈を追って走る。

二人裸足で、ずぶ濡れになりながら当てもなくただ、走り続けた。


その先に何が待つのか、もう怖れない。俺は彼女の小さな後ろ姿を見つめながら思った。



< 173 / 217 >

この作品をシェア

pagetop