私たち、政略結婚しています。
抵抗しようと必死だった彼女の全身から、…次第に力が抜けていく。
…やがて、彼女の手は…、今朝と同じように俺の髪を撫で始めた。
こんな風に受け入れることができるなら…俺が嫌いで堪らない訳じゃないよな…?
そう思うと俺は歯止めが利かなくなっていく自分の激情を止める気にはなれなかった。
そのまま性急に佐奈の服を取り払っていく。
「や…!」
さすがに彼女は再び抵抗しようと俺を押し戻した。
「…愛がなくて気持ち悪いか、…確かめてみろよ」
お前に伝えたい。
こんなに欲しいと思わせる俺の本当の気持ちを。
きっと分かるはずだ。お前が好きだと。
その白い肌に痕を刻みながら俺はそのまま佐奈を抱いた。
「克…哉…!嫌い…!…嫌いよ…、離して」
「佐奈…っ」
そんな言葉は聞きたくはない。
きっと嘘だ。
お前は俺に惚れている。
もっと感じろ。
俺の心を。
その時、佐奈の目を見た。
その瞳は恍惚と潤んでいる。
「克哉…、私…」
その先は…聞かなくてもいい。
きっと俺が好きだと言いたいんだろう?
それ以外のことは聞きたくない。
今さら別れたいだなんて、納得できるかよ。
佐奈をきつく抱きしめながらそんなことを思う俺は、やはり間違っているのだろうか。
自分でも、どうしたらよいのかが分からなくなっていた。
このまま、抱き合って…時が止まってしまえばいいんだ。そんな事を本気で考えてしまうほどに。