叶わぬ恋の叶え方

ベッドサイドに立つ先生を、咲子は改めて観察した。

「誰が見てもカッコイイ」あるいは「ちょっといい」三十路の男ってどんなだろうとちょっと興味がある。二つの形容の間には隔たりがあるけど、きっと褒められるような人なのだだろう。

先生はカルテを見ているので、咲子が彼を観察していることに気づかない。

彼は白衣姿で聴診器を首に巻いている。それは他の医者と同じだ。

正面から見た顔は結構普通の顔。サッパリした顔だけど美形というほどじゃない。

けど、こうやって斜め下から見上げていると、彼は横顔がいいと思う。高い理知的な鼻梁にかかる眼鏡。瞳がとても優しそうだ。

背は高い方なんじゃないか。痩躯だから実際以上にそう見えるのかもしれない。

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