負け犬も歩けば愛をつかむ。
皆私のミスを責めることはないけれど、こんなんじゃダメだ。昨日のこと考えてないで仕事に集中しなくちゃ!

さすがに食べ切れなさそうな分はとりあえず冷凍しておいて、またまかないで食べることにしよう。

邪念を振り払い、まかない用の切り干し大根を煮るため鍋を用意する私に、真琴ちゃんがこんなことを言う。



「千鶴さん、なんか今日朝から変。昨日何かあったんですかぁ?」



ギクッ。不覚にも動きを止めてしまった私の顔を、真琴ちゃんはさらに疑わしげに覗き込む。



「あ、やっぱり何かあったんだ。マネージャー絡みですか? そうなんでしょ!?」

「ちちち違うわよ何言ってんのそんなことあるわけないじゃないの!!」

「ちづ、わかりやす過ぎー」



皆から“すべて話せ”と催促されているような空気をビシバシ感じながらも、さすがに昨日のことを全部話すほど私は寛容ではない。

けれど相談したい気持ちもあって、ひとまず悩みの種を打ち明けることにした。




「椎名さんの好きな人、ねぇ……」



休憩時間に入り、切り干し大根尽くしのおかずが並んだこたつを囲みながら、皆一様にうーんと唸る。

どうやらその可能性は皆一ミリも頭になかったらしい。

もう、歓迎会のお酒の件といい考えが甘いんだから。……私が言うなって感じだけど。

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