負け犬も歩けば愛をつかむ。
「チーフの春井さんも、薫と張り合うのは大変でしょうね。最近やたらスルスを目の敵にしてるから……」
その言葉を聞いて、急に不安が生まれる。
九条さんの言うことが本当なら、専務と直に関わることが多い春井さんは、何か嫌がらせを受けたりしていないだろうか。
彼女が専務を好きだという気持ちを、逆手に取って利用されることだってあるかもしれない。
そう考えると、彼が春井さんに気があるような行動を取っていたことにも納得がいく気がして、俺の中に焦燥感が沸き起こる。
「まぁ、彼女を目の敵にしてるのは薫だけじゃないけど……。……椎名さん?」
考え込んでしまっていた俺の顔を、首をかしげながら覗き込む九条さんにはっとさせられた。
「あ、ごめん。今何て?」
「いえ、なんでも! あの、何か困ったことがあったらおっしゃってくださいね。私がきつーく言っておきますから!」
握りこぶしを作り鼻息を荒くする九条さん。
一見仲が悪いようにも受け取れるが、きっと彼女は専務のことを誰よりも深く理解している。
「……本当は、君が一番気にかけてるのは専務なんじゃないのかな」
「何言ってるんですか! そんなことは地球が逆回転するくらいありえません!」
少し意地悪な笑みを浮かべながら言うと、彼女はぶんぶんと首を横に振って否定する。
……が、その後も専務の話をする九条さんは、今まで見た中で一番自然でとてもいい顔をしていた。
彼女は自分でも気付いていないのかもしれない。
俺に対するのが“恋”で、専務に対するのが“愛”のように、俺には思えるんだがな。
その言葉を聞いて、急に不安が生まれる。
九条さんの言うことが本当なら、専務と直に関わることが多い春井さんは、何か嫌がらせを受けたりしていないだろうか。
彼女が専務を好きだという気持ちを、逆手に取って利用されることだってあるかもしれない。
そう考えると、彼が春井さんに気があるような行動を取っていたことにも納得がいく気がして、俺の中に焦燥感が沸き起こる。
「まぁ、彼女を目の敵にしてるのは薫だけじゃないけど……。……椎名さん?」
考え込んでしまっていた俺の顔を、首をかしげながら覗き込む九条さんにはっとさせられた。
「あ、ごめん。今何て?」
「いえ、なんでも! あの、何か困ったことがあったらおっしゃってくださいね。私がきつーく言っておきますから!」
握りこぶしを作り鼻息を荒くする九条さん。
一見仲が悪いようにも受け取れるが、きっと彼女は専務のことを誰よりも深く理解している。
「……本当は、君が一番気にかけてるのは専務なんじゃないのかな」
「何言ってるんですか! そんなことは地球が逆回転するくらいありえません!」
少し意地悪な笑みを浮かべながら言うと、彼女はぶんぶんと首を横に振って否定する。
……が、その後も専務の話をする九条さんは、今まで見た中で一番自然でとてもいい顔をしていた。
彼女は自分でも気付いていないのかもしれない。
俺に対するのが“恋”で、専務に対するのが“愛”のように、俺には思えるんだがな。