*花は彼に恋をする*【完】

「…本当ごめんなさい。」

恐る恐る手を伸ばすと

翔英さんが私の手を握りながら

「…痛いか?…大丈夫か?
俺は別に怒ってないし
こんな事で嫌いになんかならないよ。
でも…玲花が辛いなら
今日は別にもうやめても大丈夫だよ。」

そう言って優しく微笑んでくれた。

その言葉を聞いた時

私は少し頭を上げて抱きついた。

驚いて目を見開いた翔英さんに

「…お願い…やめないで。」

私は精いっぱいの気持ちを伝えた。

……どうかわかって欲しい。

彼はすぐに柔らかく微笑むと

私の頬を撫でながら

「…わかった。
ただ、力を抜いて楽にして。
辛かったらしがみついてくれ。
…愛してるから安心して。」

そう耳元で囁きながら

もう一度ゆっくり私と一つになった。

やっぱり叫んでしまったけど

「…ごめんな。大丈夫?」

優しい言葉で心配してくれる。

痛みを感じたけど

ジワジワとそれ以上の幸せを感じて

目から涙が溢れた。





< 141 / 157 >

この作品をシェア

pagetop