*花は彼に恋をする*【完】

私は翔英さんのバスローブを

ギュッと掴んだ。

そして

溜まっていた想いを口にした。

「…お見合い…するって…聞いて
私は…ショック…だった。」

「…ああ…ごめん。
本当に悪かった。」

彼は私の頭を優しく撫でてくれた。

「…諦めたくても、忘れたくても
頭から…離れなかった。」

「…ああ。
もう諦めなくていい…。
想っていてくれてありがとうな…。」

「…大好きな人から…愛されてる
羽奈や彩羽が…本当は凄く凄く
羨ましかった…。」

無い物ねだりだとわかっていたけど

本当に好きな人から

溺愛されている羽奈や彩羽は

本当に眩しくて羨ましかった。

なのに私は報われなくて

何で私は…と落ち込んだりもした。

あの子達になりたかった。


元彼達には申し訳なかったけど

私はいつも心の中は寂しくて

満たされてなかった…。

本当に申し訳なかった。

でも、今は凄く満たされてるから

もう絶対に手放さない。


…あっ。

羽奈の名前で思い出した。


『…ブーケをありがとう…羽奈。』

心の中で私は呟いた。

今思うと

羽奈から貰ったブーケは

きっと…私を翔英さんと

引き合わせるための

神様からのプレゼント

……だったのかもしれないから。


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