*花は彼に恋をする*【完】

静まりかえった廊下で

「…野田。
部下のせいで…悪かった。」

赤羽が口を開いた。

「…あいつは企画開発のヤツだ。
黒瀬課長にアプローチしてたとかで
課長も本人に『迷惑だ』と
はっきり伝えているらしいし
報告も受けていた。
武内課長代理も俺もあいつの事で
対策を考えていたところだった。
…あっ、おい、野田!」

赤羽が慌ててハンカチを取り出した。

なぜなら、私の目から涙が

ポロリポロリと流れていたから。

「…ごめんな…野田。
部下のせいで嫌な想いさせたな。
だけど、あいつの言う事は
鵜呑みにするな。
野田…お前は昔から強いようで
意外と脆いとこあるから。」

赤羽が申し訳なさそうに

ハンカチで私の涙を拭いてくれた。

…赤羽優雅…この男は

昔から口や目つきは悪いけど

根は凄く優しいヤツ。

イケメンの部類に入って

頭がキレて仕事もデキる。

昔から冗談や憎まれ口を

気楽に叩き合ってきた仲だから

別の意味では好きなヤツだけど

決して恋仲ではない。

今後も決してそうはならない。

































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