*花は彼に恋をする*【完】

…何、この状況?

頭の中がはてなマークで

混乱しそうになる。

…『誤解』って何?

この2人は恋人同士じゃないの?

えみかさんは

彼の『お見合い相手』じゃないの?

お付き合いしてるんじゃないの?

さっきから聞いてると

まるで何だか

恋人同士の会話と言うより

夫婦漫才に近いような

可愛いきょうだい喧嘩みたいな会話に

私は困惑していた。

この2人の関係は一体何!?

「…わかったわ、いいわよ。」

戸惑って固まったままの私を見て

クスクス笑っていたえみかさんは

笑うのをやめると

立ち上がってスーツを整えた。

そして名刺入れから

名刺を一枚取り出すと

「…申し遅れました。
野田玲花さん、初めまして。
『水橋瑛美香(みずはし えみか)』
と申します。
このビルの副オーナーをしております。
そして私はここにいる
……黒瀬翔英の双子の姉です。」

そう言って

自己紹介をした瑛美香さんは

「…よろしくね、玲花ちゃん。」

と、ニコニコしながら

私に名刺を差し出した。



……えっ!!

名刺を受け取った私は硬直した。
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