小咄
そして夜は再びBBQ。
そこで、ゆいが、じゃ~んと手に持った巾着を掲げた。
「さ、今から肝試しですよ! くじは言い出しっぺのあたしが作りましたから! ここに、男性チームの名前を書いた紙を入れますので、女の子チームが引いて、ペアを決めます」
上機嫌で言いながら、ゆいが、四つの紙を折り畳んで握り、その拳を袋に突っ込んだ。
「はい。じゃあ、あんたからね」
ぱっと拳を引き抜いて、ゆいは傍にいた深成に袋を突き出した。
「手に当たった初めの紙を引くのよ」
掻き回したって同じなんだからね! と、くどいほど言うゆいに急かされ、深成は紙を一枚引いた。
続いて、あきに袋を突き出す。
「指先に当たったやつを取るのよ」
またもくどいほど言う。
そろ、とあきが手を入れると、袋の底まで届かないうちに、ゆいが、ぱっと袋を引いた。
慌てて指先に当たった紙を挟んで掴む。
「もぅ。ちょっと待ってよ」
「選んだって一緒だって言ってるでしょ」
言いつつ、さっさと千代に袋を差し出す。
同じように、千代が手を入れた瞬間に引き、奥まで入れさせない。
「じゃ、この残ったやつが、あたしね」
袋に手を突っ込み、引き抜いて紙を翳す。
……明らかに、それは一番奥にあったやつではないか?
「さ、じゃ紙オープン!」
やけに張り切って、ゆいが掲げた紙を開いた。
各々引いた紙に目を落とす。
「わらわ、清五郎課長だ」
「あらそうなの?(残念だったわね)」
あきが後半部分を呑み込みながら、深成の紙を覗き込む。
ちなみにあきの紙には『羽月』。
「あ、課長は千代だね」
深成が、あからさまに羨ましそうな顔で、千代の紙を覗き込んだ。
あきはこっそり、千代の表情を窺う。
---深成ちゃんはわかりやすいけど。千代姐さんは、さすがによくわかんないわ。真砂課長でも嬉しいだろうけど、今の表情を見る限り、清五郎課長でも良かったんじゃないかしら---
うむむ、と思いつつ、はた、とあきは我に返った。
深成が清五郎、千代が真砂、そして自分は羽月ということは。
「やったぁ~。あたし、捨吉くんとぉ~」
ゆいが紙を高く掲げて叫んだ。
それに、きろりと千代の目が光る。
だが口は開かなかった。
ちらりと、あきのほうを見、小さく舌打ちしてみせただけだった。
「じゃ、出発する順はぁ、適当でいっかぁ~」
ゆいにとってはペアの相手だけが重要なので、順番までは気が回らなかったらしい。
少し考え、ぱっと捨吉の手を取った。
「あたしたちが一番にしよう。後は、そうね~、適当に来て」
無責任なことを言い、ひらひらと手を振ると、ゆいは捨吉の腕にべったりと張り付いて、コテージのウッドデッキを降りて行った。
「……ったく、あいつは。ああいう中途半端なところが、いかんのだよなぁ」
清五郎が、持っていたビールを飲み干してぼやいた。
そしてしばらくしてから、ぽんと深成の肩を叩く。
「じゃ、そろそろ行こうか」
「え、行くんですかぁ? このままなかったことにしたって、いいんじゃないですか?」
深成が思いっきり不安そうに言う。
が、清五郎は苦笑いしつつ、捨吉とゆいの消えた闇に目を向けた。
「まぁな。でもなぁ、捨吉を救いに行ったほうがいいかな、と思ってね」
あ、なるほど、と、その場の全員が納得する。
「大丈夫だよ。派遣ちゃんは小さいから、何かあっても抱えて逃げてやるさ」
ははは、と笑う清五郎は、確かに頼り甲斐ならNo.1だろう。
真砂はその点、よっぽど気に入った相手でないと、簡単に捨てて行きそうだ。
他人を庇ってくれる男ではない。
---でも深成ちゃんなら、何があっても守るでしょうけどね~---
にやにやと、あきの目尻が下がる。
「てことで、ま、折角の機会だ。俺らの後にも、ちゃんと続けよ」
皆に言い渡し、清五郎は深成を伴ってコテージを出た。
そこで、ゆいが、じゃ~んと手に持った巾着を掲げた。
「さ、今から肝試しですよ! くじは言い出しっぺのあたしが作りましたから! ここに、男性チームの名前を書いた紙を入れますので、女の子チームが引いて、ペアを決めます」
上機嫌で言いながら、ゆいが、四つの紙を折り畳んで握り、その拳を袋に突っ込んだ。
「はい。じゃあ、あんたからね」
ぱっと拳を引き抜いて、ゆいは傍にいた深成に袋を突き出した。
「手に当たった初めの紙を引くのよ」
掻き回したって同じなんだからね! と、くどいほど言うゆいに急かされ、深成は紙を一枚引いた。
続いて、あきに袋を突き出す。
「指先に当たったやつを取るのよ」
またもくどいほど言う。
そろ、とあきが手を入れると、袋の底まで届かないうちに、ゆいが、ぱっと袋を引いた。
慌てて指先に当たった紙を挟んで掴む。
「もぅ。ちょっと待ってよ」
「選んだって一緒だって言ってるでしょ」
言いつつ、さっさと千代に袋を差し出す。
同じように、千代が手を入れた瞬間に引き、奥まで入れさせない。
「じゃ、この残ったやつが、あたしね」
袋に手を突っ込み、引き抜いて紙を翳す。
……明らかに、それは一番奥にあったやつではないか?
「さ、じゃ紙オープン!」
やけに張り切って、ゆいが掲げた紙を開いた。
各々引いた紙に目を落とす。
「わらわ、清五郎課長だ」
「あらそうなの?(残念だったわね)」
あきが後半部分を呑み込みながら、深成の紙を覗き込む。
ちなみにあきの紙には『羽月』。
「あ、課長は千代だね」
深成が、あからさまに羨ましそうな顔で、千代の紙を覗き込んだ。
あきはこっそり、千代の表情を窺う。
---深成ちゃんはわかりやすいけど。千代姐さんは、さすがによくわかんないわ。真砂課長でも嬉しいだろうけど、今の表情を見る限り、清五郎課長でも良かったんじゃないかしら---
うむむ、と思いつつ、はた、とあきは我に返った。
深成が清五郎、千代が真砂、そして自分は羽月ということは。
「やったぁ~。あたし、捨吉くんとぉ~」
ゆいが紙を高く掲げて叫んだ。
それに、きろりと千代の目が光る。
だが口は開かなかった。
ちらりと、あきのほうを見、小さく舌打ちしてみせただけだった。
「じゃ、出発する順はぁ、適当でいっかぁ~」
ゆいにとってはペアの相手だけが重要なので、順番までは気が回らなかったらしい。
少し考え、ぱっと捨吉の手を取った。
「あたしたちが一番にしよう。後は、そうね~、適当に来て」
無責任なことを言い、ひらひらと手を振ると、ゆいは捨吉の腕にべったりと張り付いて、コテージのウッドデッキを降りて行った。
「……ったく、あいつは。ああいう中途半端なところが、いかんのだよなぁ」
清五郎が、持っていたビールを飲み干してぼやいた。
そしてしばらくしてから、ぽんと深成の肩を叩く。
「じゃ、そろそろ行こうか」
「え、行くんですかぁ? このままなかったことにしたって、いいんじゃないですか?」
深成が思いっきり不安そうに言う。
が、清五郎は苦笑いしつつ、捨吉とゆいの消えた闇に目を向けた。
「まぁな。でもなぁ、捨吉を救いに行ったほうがいいかな、と思ってね」
あ、なるほど、と、その場の全員が納得する。
「大丈夫だよ。派遣ちゃんは小さいから、何かあっても抱えて逃げてやるさ」
ははは、と笑う清五郎は、確かに頼り甲斐ならNo.1だろう。
真砂はその点、よっぽど気に入った相手でないと、簡単に捨てて行きそうだ。
他人を庇ってくれる男ではない。
---でも深成ちゃんなら、何があっても守るでしょうけどね~---
にやにやと、あきの目尻が下がる。
「てことで、ま、折角の機会だ。俺らの後にも、ちゃんと続けよ」
皆に言い渡し、清五郎は深成を伴ってコテージを出た。