小咄
「だってさぁ、万が一ぶっ倒れたら危ないじゃん」

「安心しろ。こいつがぶっ倒れたら、俺が支えてやる」

 千代辺りが聞いたら、わざわざ針を刺すまでもなく、鼻から大量の血を噴出しそうなことを言い、真砂は掴んだ深成の腕を、ずいっと医師のほうに突き出した。
 深成が、ひく、と顔を引き攣らせる。

「や~だ~~! わらわ、まだ心の準備が出来てない~~っ!!」

 泣き喚く勢いで、後ろに立つ真砂を押すように、背中を押しつける。

「馬鹿野郎! 散々この部屋の前にいただろうが! 今更何が心の準備だ!!」

「だって課長が先と思ってたんだもん~~っ」

「元々お前のほうが先だ! 何を都合の良いように解釈してるんだ!」

「やだやだ~~!! 怖い!!」

 思いっきり腰は引けているが、腕はがっちりと採血台に固定されている。
 態度もお子様なら力もお子様だ。
 押さえつける真砂からは逃れられない。

 深成はえぐえぐと泣きながら、なおも背後の真砂に背中を押しつけた。

「何か、可哀相になるなぁ」

 針を持った医師が、気の毒そうに言う。
 吸血鬼のくせに、子供には弱いようだ。
 真砂は業を煮やしたように、強引に深成の袖を捲り上げると、さらに医師の前に突き出した。

「遅かれ早かれ同じ事だ! さぁ、とっとと採ってくれ」

 医師は相変わらず気の毒そうに深成を見、でも真砂の剣幕には逆らえず、仕方なくアル綿を取ると、突き出された深成の腕を消毒した。
 深成が息を呑む。

「じゃあ採るよ」

 一声かけてから、間髪入れずに医師は、ぷしっと深成の腕に針を刺した。
 その瞬間。

「……おいっ」

 深成の身体から力が抜け、どっと真砂のほうに倒れ込んだ。

・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆・:・★・:・☆
 う~ん、今回はちょっと普通すぎるかも。
 真砂を何かの医師にしたようが良かったかな?いやでも、『mira商社の』健康診断だし。

 今回の医師は、Berry's限定のお話のキャラで、しかも名前がないっていう。
 企画もので書いた短編のキャラなので、名前なくても良かったのですよ。でもこの先生の献血センターは『きし献血センター』なので、『きし』先生なんでしょうね。
 千代を襲わせてみましたが、意外にあっさり医師の手に落ちてしまいました( ̄∀ ̄)

 しかし深成は、どんだけお子様なんだ。
 何となく、このmira商社バージョンでは夜香花の登場人物全員、本編プラス十歳ぐらいで丁度良いバランスだと思ってたのに、深成は子供のイメージが強すぎて……。

 あ、何気に医師が千代の血液型を言ってますが、健康診断ごときで血液型は言わないですね( ̄∀ ̄;)この機会に、大体の血液型を考えてみたり。
 深成はB。真砂もBだな( ̄∀ ̄)意外に清五郎辺りがAかABかも。捨吉はOっぽい。

 そしてこの後、真砂は気を失った深成をどうするんでしょうね。
 「俺が支える」と言った以上は、責任は取るだろうし。千代にバレたらえらいこっちゃ( ̄m ̄*)
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