傷ついてもいい
初体験
こんな私でもいいと初めて言ってくれた人がいた。


花村佳奈(ハナムラカナ)。18歳の夏。

「初めてなの?」

ホテルでキスをしながら、優しく聞かれて、うん、と小さく頷く。

小さな胸は、ドキンドキンと激しく打ち続けていた。


Tシャツの中に彼の手が入って来る。

恥ずかしさで目をきつく閉じる。

「あ、ダメ、やだ…」

頭が真っ白になる。


「かなさん!7時だよー!」

隣で、誰かの声。

身体を揺すられて、ハッと目を開けた。

「え?」

「7時だよー!遅刻するよ!」

「げ!ほんとだ!」

慌てて起き上がると、洗面所に走った。

佳奈、32歳。春。
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