傷ついてもいい
「佳奈、最近、顔色悪くない?」

11月。構内の銀杏が色づきはじめた。

佳奈は、麻衣子と昼食の帰り道、コンビニコーヒーを飲みながらそれを眺める。

「うん、なんか食欲なくて」

「さっきもご飯残してたよね。珍しいなって思ってたんだ」

麻衣子は、心配そうに佳奈の顔色を覗き込んだ。

「ちゃんと来てる?生理」

「あ…そういえば、今月まだだ」


佳奈は、どきりとする。

「検査薬、あげよっか。一個余ったのあるから」


麻衣子が、カバンから、妊娠検査薬を取り出した。

「ありがと。やってみよっと」

佳奈は、軽い気持ちでそれを受け取るとカバンにしまった。

「もうすっかり秋だねえ」

「てか冬だよ」

北風がひゅうと吹いて、佳奈は、カーディガンの腕をさすった。

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