もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

違法なバイト



いつものようにとーちゃんに抱かれ、いつものように帰り支度をするとーちゃんを寝たふりをしながら見ていた。



私との時間を増やすって言っていたのに、やっぱり事を終えると行ってしまうんだ。



けど、今日はいつもみたいな寂しさは感じない。



この世にたった1人になったみたいに孤独だ、なんていう悲劇のヒロイン思考も働かない。



そもそも、この世にたった1人の孤独なんて、わからないのに……



音を立てて閉まった扉がもたらすのは、孤独じゃなく安堵感。



私はとーちゃんに抱かれながら、頭の中はさっきの話でいっぱいだった。



本当にバイトのことがバレていないか、そのことを確かめるようにとーちゃんの背中にしがみついていた。



バイトの内容がバレていたとしたら……



私を抱かない、もしくはその最中に何かが違うと感じると思う。



けど、とーちゃんはいつもとすべてが同じで、閉まった扉の音もいつも通りだった。

< 211 / 342 >

この作品をシェア

pagetop