もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

女の子の友情



「純麗ちゃん、落ち着いた?」



「ごめん……」



泣いているつもりはないのに、私の瞳からは次々と涙が零れ落ちた。



そんな私に困り果てたリュウは我が家、つまりホテルに連れ帰ってくれた。



「謝る必要なんてないよ。どーせ悪いのはさくらんぼだろ?あ、取り敢えず水」



“さくらんぼ少年”がついには“さくらんぼ”だなんて……



ジュンが聞いたら、またキレるんだろうな。



リュウは私の前にミネラルウォーターのペットボトルを置き、隣に腰かけた。



「ありがとう」



「で、何があったの?」



涙を流すと、喉って乾くんだったかな?



ミネラルウォーターを一口含むと、口の中がカラカラで、喉が乾いてるんだと実感した。



「何もないよ」



「何もないわけないだろ!女の子が泣くには理由があるんだ!」



そう真剣に私を見つめるリュウ。



いつもは、あんなんだからかな……



こんな風に、心配してくれるのが嬉しい。



言ってることは、ちょっと可笑しいんだけどね。



“女の子”の定義みたいなのを語っちゃってるけど、どんな“女の子”のことを言ってるんだか……



少なくとも、私はその定義には当てはまらない“女の子”で、寧ろ“女の子”ではないのかもしれないし。



「さくらんぼだろ?さくらんぼに何された?」



私の両肩を勢い良く掴んだリュウは、段々と興奮してきている。



「リュウ、痛い」



「あっ、ごめん……」



「何もされてないから。私が勝手に、色んなことを想っちゃっただけ」

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