バスボムに、愛を込めて
19.潔癖な彼のキス


「羽石……?」


ほら、やっぱり。その声はあたしの大好きな……


「本郷、さん……」


どうしてここにいるの? あたし、お嬢にはちゃんと口止めして来たはずなのに。

ああでも、理由なんてどうだっていいや。……無性にあなたに逢いたかったから。

本郷さんに駆け寄ろうと一歩踏み出すと、彼のいる方から別の影がすごい勢いであたしの脇を通り過ぎて行った。
……効果音にするなら、ばびゅんとか、それくらいの速さ。

そして巻き起こった風が花のような香りを残していき、あたしは影の正体に気づく。


「寧々さん……?」


振り返って確認すれば、やっぱりその後ろ姿は長い黒髪で。

いつの間にか孝二と向き合っていた彼女は、無言でいきなり彼の頬をひっぱたいた。

うわ! 痛そう……! もしかして、寧々さんはあたしのために……?

でも待って!あたし、孝二には結局何もされてないんです……!


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