バスボムに、愛を込めて
22.俺にはお前が必要だ


リョータさんの部屋は、あたしの部屋なんかよりよっぽど女の子っぽくて、甘い香りが立ちこめていた。

白で統一された家具。淡いピンクのカーテン。
昔よく遊んだ着せ替え人形のお部屋みたいだ。


「じゃあ、ドレッサーの前に座って?」


壁際にある大きな鏡のついた白いドレッサー。
その上にはたくさんのメイク道具が並んでいて、あたしは小さなスツールに座りながら思わずまじまじと観察してしまう。


「そういえば、名前を聞いてなかったわね」

「あ、羽石美萌です! 本郷さんとは同じ会社で、今年の春から同じチームでお世話になってるんです」

「美萌ちゃんね。それにしても瑛太ったらよっぽどあなたのことが可愛いのね」


鏡の中のあたしを見ながら、リョータさんがクスッと笑う。

たぶん、本郷さんの部屋の前でのさっきの彼とのやり取りを思い出して言っているのだろう。


『借りるって……何する気だ』

『何って……少しくらい話をしたっていいでしょ?』

『駄目だ』

『なんでよ。私が女の子に興味ないことはアンタもよく知ってるでしょ?』


――本郷さんはそこで何も言い返せなくなり、二人の間には険悪な雰囲気が流れ始めてしまった。

それを何とか断ち切りたくて、あたしの方からから言ったのだ。

『あたし、リョータさんと話したいです!』――って。


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