Re : Birthday
「……1年前から昔の記憶がないだけ」
いつの間にそんなに時間が経ったのか、傾き始めた陽をぶらさげた、あまりよくない天気の空をぼうっと見つめながら、少年は言葉を落とした。
「なんで記憶がないのか分からないけど」
灰の瞳と銀の髪。口元はマフラーに隠れていて見えないけれど、陽に当たるとなお綺麗だ。
「お前のこともきっと、1年後には忘れてるよ」
特に、この色の陽に当たると、余計に儚い。
今にも舞い落ちそうな、寸前のところでとどまっている、花弁のようだ。