HAIJI
プロローグ

 部屋の中には西日が差し込んでいた。
 カーテンを閉めてはいないため、シャンデリアに明かりを灯す程にもないが、あと30分もすれば部屋は闇に支配されるだろう。

 広い部屋に20人掛けの重厚なテーブルと椅子。
 その端に、向かい合う形で、二人の少年が座っていた。
 歳の頃は15歳程だろうか。
 二人が同時に部屋に入ってきてから、かれこれ30分も黙ったままだった。

 窓際の少年──少年Aと呼ぶ──は、姿勢を正したまま、目の前の少年──少年B──をただ黙って見ているようである。
 少年Bは、何を話そうか、たまに視線を動かしている。


「君は──、」


 最初に口を開いたのは少年Aだった。
 少年Bの身体が小さく跳ねたのを見て、ごめん、と謝る。


「ひとつ、聞きたいことがある」


 少し間を空けて、少年Aは改めて少年Bを真っ直ぐに捉えた。
 少年Bも、その濁りのない視線を受け止める。


「この国を、どう思う」


 少年Aの質問に、少年Bは口許を緩めた。


「月並みだね」
「月並みでいいだろう」
「僕を試しているのか?」
「いや。そのまま受け取ってくれていい」
「フェアじゃない」


 少年Bはニヤリ、と口角を上げた。
 少し身を乗り出して、顎を引く。
 少年Aは最初から姿勢も声の高さも全く変わらない。
 しばし、視線がぶつかり合った。

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