地の棺(完)
地の棺
梯子は体重をかけるたびにぐらぐらとしていて、とても不安定だった。

小さな懐中電灯の明かりは頼りなく、これがなくなると身動きがとれなくなりそう。

土の匂いと混じってミントの強い匂いがする。

時折感じる風は、この穴がどこか外に通じていることを物語っていた。


シゲさんを先頭に快さん、わたし、初ちゃんの順番で進んでいく。

梯子が終わると、穴は横向きになり、わたし達は四つん這いになって進んだ。

縦に、横にと張り巡らされた穴は、確かにモグラの穴のよう。

掌と傷だらけの足の裏の痛くて疼く。

足手まといにならないように必死についていくと、穴はやがて広い空間に出た。


「ここだ」


前を行くシゲさんが足を止める。

懐中電灯に照らされた先に、ややしろっぽい草のようなものが生えているのが見えた。


「あれは……」


「これがミントなんじゃねぇの? 光があたらないせいか白っぽいけど」


「どうしてこんなところに……」


「これが原因で育ってんだろ」


そういうと快さんは懐中電灯を上の方向に向けた。

すると、黒い土壁に光る無数の白く小さな光。


「ひっ!」


思わず口から悲鳴が漏れた。

シゲさんはすぐに光を地面に戻す。


「蝙蝠だよ」


「……地の翼」


快さんが呆然とした顔で呟いた。

地の翼、これが……


「そして肝心なのはこっちな」


次にシゲさんはわたし達がいる場所から離れた位置を照らす。

白い人の足。
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