大企業の会長だった祖父の遺言に書かれていたのは、莫大な遺産を相続することだけではなく、悪評高き大富豪の御曹司と結婚することだった。しかも、彼のお父さんは、お金と権力を手に入れるために、私の命を狙っていた。 セレブの世界とは、縁もゆかりも無かった私は、お金と欲にまみれた、陰謀劇に巻き込まれていく。 そして、知ることとなった。全てを持っていると思っていた、カリスマ帝王と呼ばれる、彼の＿＿孤独を。 ＿＿登場人物＿＿ 吉乃樹里愛　よしのじゅりあ サウスエリアにある高校に通う、平凡な十八歳の少女。 両親は他界しており、唯一の肉親である祖父の存在を知らずに育つ。 不動暁　ふどうあかつき 大富豪の御曹司で、二十歳ながらホテルを経営する実業家だか、酒と女にだらしなく、いつもスキャンダルの中心にいる。 ＊ベリが丘恋愛小説コンテスト、エントリー作品＊

汚れた血を持つ自分が、幸せになることなんて許されない。 ずっと、そう思って生きてきたのに＿＿。 「俺が君を選んだ。君は世界一の女性だということだ」 いつもは素っ気ないのに、どんな時でも、あなたは必ず私を救ってくれた。 伊藤椿（いとうつばき）二十四歳 旧華族、安斎家の令嬢。 大手貿易商会社、宝月貿易、営業課所属 病気の母を支える。芯が強い。 宝月隼人（ほうづきはやと）二十八歳 日本有数の財閥、宝月ホールディングスの次期総帥 傘下である宝月貿易の副社長 無口でクール、ときどき甘い？ 望月紫（もちづきゆかり）三十三歳 大病院、望月医科大学病院の御曹司 隼人の幼馴染で、腕の良い外科医 爽やかな好青年