*Riku*さんの作品一覧

左手のエース

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恋愛(キケン・ダーク)67ページ

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大歓声が ふっと小さくなる瞬間 空気を切るように 鋭くコートの先を見つめる 視線の先の選手が 振りかぶって ボールをサーブする ボールは高い位置から ほぼ直線を描きながら あたしが立つコート内の 空きスペース目掛けて突き進む ボールの軌道を確かめながら 0コンマ何秒の速さで床を蹴って飛び込む まるで息を合わせたかのように ボールはあたしの手首に持ち上げられた "トップレシーバー" バレー部に入部してすぐ あたしにはそんなあだ名がついて 1年の中で唯一のエースに選ばれたんだ そんな バレー漬けの生活だった 高校1年の夏 あたしはあんたに出会った 「あたしに拾えない球はない」 その頃のあたしの口癖だった この言葉を借りて言うなら あんたがあたしに打つ球は いつも 「拾えない球」だった。
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