プロフィール

ななせ。
【会員番号】395918
細々と執筆活動をしております。
この度はオトナ女子向けということで、
まさに私が望んでいた、対象年齢の方向けに書けるので
とても嬉しく思います。
アラサー女子の本音を、
時には毒づきながらも、ただまっすぐ純粋に、
時には弱気になるけれど、そでも強く生きていく様を
描きます。
同じ環境の方に読んでいただき、共感をいただければ幸いです。

作品一覧

結婚式3時間の為の男選び

総文字数/10,205

恋愛(純愛)36ページ

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大きなスクランブル交差点での信号待ち。 青なのか、赤なのか、わからない。 信号を待っているわけではない。 どこに行くわけでもない。 ただ、そこにいるすべての人の足が止まっているから、 恵理も止まっているだけ。 騒がしいはずの車の音も全く聞こえない。 抜け殻になった恵理は、もう充電が切れた、 かかってくるわけもない携帯を、片手に握り締め、 ただただ、立っていた。 時刻はまだ六時だというのに、 すっかり、日は暮れていた。 つい、さっきまで明るかった夕日の余韻で、 暗さに慣れていない恵理の両目は、 その暗さを受け入れられない。 「前見て歩けや。」 後ろにいた、サラリーマンの肩が 恵理の右腕を容赦なく押しのけた。 抜け殻になった恵理の右腕に、 それを抵抗する力など残っているわけもなく、 カタンという、携帯を落とした音で初めて、 信号が青になったことに気づいた。 『渡らなきゃ』 ・・・どこに行くあてもないけれど、 この、『人の波』に乗らなきゃ、 また取り残される。 また、私だけ、置いていかれる・・・ だけど、この暗さに慣れてない恵理の目の焦点は 前を見ようとせず、 だからといって、人の足元を見ているわけでもなく、 フラフラよろつきながら、 前から来た自転車のかごにお腹を殴られた。 『痛い・・・・』 ・・・痛いよ・・・・痛いよ・・・。 恵理の目から涙が溢れてきた。 ・・・何やっているんだろ・・・私・・・。 失恋したわけでもない。 仕事で失敗したわけでもない。 身内に不幸があったわけでもない。 病気になったわけでもない。 なのに、こんなに涙が出てくるのは、なぜ・・・? 『結婚』 それほど、この二文字の腫瘍が、 恵理の身体全体を侵し、転移しているようだ。

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