敬語で柔らかい口調、控えめで『いけばな王子』なお家元。
最初は優しくて儚げで妖艶な人なのかなと思いきや、ヒロインのことになると強引。
かなり強引。でもその強引さにも優しさが感じられてすっごく素敵でした。
いけばな王子って世間からイメージ付けられてる中、主人公の前で素になる感じも好きです！
そして仕事の多忙さが作品中伺えるのですが、仕事中の彼に主人公とともに惹かれること間違いなしです。
王子様なんだけど、辛いことも経験してるから優しい。そしてその経験があるからこそ主人公を自分で選んでいて、とても格好良いです。
ラストは二人の愛の前に奇跡がおこり、ちょっとウルッと来ました。
結婚しても、きっと強引な優しさに主人公が振り回されつつ幸せなんだろうなと、暖かい気持ちになれる話でした。

本音を語らないくせに、主人公に大金を使ったり強制的に引っ越しをさせたり、そして甘くてドキドキするキスをする成瀬柊。
お金持ち故のズレはあるものの、一途に主人公を溺愛してくれる柊に惹かれていく。
惹かれていく心情描写や、ネオンテトラをうまく使った会話、そしてドキドキする展開。
とても素敵でした。
最後の成瀬柊視点は幸せな余韻を味わえ、彼を好きになってしまうこと間違いないです。
素敵なお話をありがとうございました。

美森さんが書かれる完璧だけど危ういヒロインと、ヒロインの丁寧な感情の描写が凄く好きです。
仕事に手を抜かない徹底された性格故に理解されず孤独で、甘え下手。女子社員との確執は、ヒロインの頑張りを読んでいるので苦しい。けれども、認めてくれる人は必ずいる。そして、頑張りは必ず評価される。

凜として隙がないように見えるヒロインの弱さを理解しているヒーロー。グレープフルーツのように甘酸っぱく、けれど口に放り込んで味わいたくなる深みのある二人の関係。

恋に仕事に頑張るヒロインと、完璧ではないけれど、ヒロインの弱さを理解してくれてリードしてくれる年下のヒーロー。
胸が苦しく切なく、けれど読後感はきっと甘く感じられる、素敵な話だと思います。グレープフルーツがナイス活躍です。