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@さぼてん
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桜咲いて

総文字数/1,234

恋愛(純愛)2ページ

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『君って奇跡を信じる?』 身体少しずつが桜の花びらとなり、やがて動くこともままならなくなる。最後の瞬間には脳や心臓、その全てが花びらへと変わりまるで魔法かのように美しい花吹雪をみせる。漸く花吹雪で終わった頃にはその患者に関する記憶が曖昧になり、ただそういう人間がいたのだということだけを覚えているのだという。 その病の名を【全身桜化変貌症】またの名を【サクラ症】という。これは、不治の奇病として知られていた。 これの患者は、重症化するまでは特に身体に制限も無く、日常生活のなんらかの行動で進行が加速するものでも無いため、普通の生活が可能だと認められる間は、病室に入ることも無く、尚且つ自身がそれだと言うことも隠し、暮らしているため他人は殆どそれの存在以外の情報は知りえぬのであった。 そんな病に侵された【僕】は言う 『奇跡とやらがあるなら僕を救ってくれ』 【僕】を強く想った友人達は言う 『【僕】は救えないのか!?』 決して叶わない未来とその先に希望を抱き続けた少年達の物語。
月と男と泡沫と

総文字数/1,482

恋愛(純愛)1ページ

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海には、金色の光を放つ満月の月明かりのみが差していた。細かで真っ白な、誰もいない砂浜に一歩踏み出せば、ぼふっとなんとも気の抜けた音を出す。それがなんだかおかしく、男は微笑みを浮かべ、片手で少し砂を掬う。さらさらと手から零れ落ちてゆく砂は、昼間の太陽の熱がまだ覚めておらず、心地の良い温もりを孕んでいた。 ざざあん....ざ、 ざざあん.... 波の音は、途絶えること無くなり続ける。 男は、海にはそれ以上近づこうともせず、真っ白い砂浜に座り込むと、とても穏やかな笑顔を浮かべ、そこには誰もいないと言うのに、まるで誰かに語りかけるように口を開いた。 『こんばんは、聞こえるかい?人魚さん。』 誰もいない砂浜。当然返事があるはずもなく、シンとした静かな時が流れる。しばし波の音を聞いていた男は、何を思ったのか満足そうに頷く。 『今日は、そんなに長くはいられないんだけど、ほら、折角綺麗な満月だから。人魚さんと一緒にみたくてさあ。』 やはり、返事はない。男の目線はすっと上がり大きな満月を向く。そこに【人魚さん】の姿は見受けられないが、それでも男に言わせれば【人魚さん】は確かにそこに存在した。 男が言うに、【人魚さん】には足がない。【人魚さん】には声がない。【人魚さん】には姿がない。だか、それでも存在した。いいや、存在している。 さあ、今語ろう。この男と【人魚さん】のお話。海へ溶け、語られなかった物語を。

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