天使の贈り物 

6.二人の時間





あの日、そーすけさんに抱かれて、
火照った体を抱きしめながら
そーすけさんの隣で、
丸まった。



素肌で触れ合う、
彼の体温が……優しかった……。





あの日以来、
大学とバイトの合間、
そーすけさんと逢っては
たびだひ……
私たちは体を重ねるようになった。



そーすけさんに触れられるたびに、
熱を籠らせて行く体。



触れて欲しくて、
その温もりに溺れてしまいたくて
求め続ける声。




彷徨い続けた二人が、
お互い引き寄せられるように
睦みあう時間。




愛しかった……。




愛しいのに……
睦みあった後には……
寂しさが駆け巡る。




どれだけ目を逸らせても、
忘れようとしても……
『みく』さんの名前は
消えることなんてない。




私は……
みくさんの代わり?






心の奥底から、囁き続ける
悪魔の声は……
幸せになろうと羽ばたく
私の真っ白な翼を、
黒く染め変えていく。



そして……心の中、
ザックリと自分の腕を切りつける。




睦みあう回数分だけ……
見えない傷が増えていく。






それでも……
貴方から離れられないのは……
私が弱いから。








……私が弱いから……。








そーすけと、過ごすようになって……
何故か、成実と過ごす時間は減った。


成実は……そーすけの
心を壊してしまうような気がしたから。



バイト・大学・そーすけさんとの時間。
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