【完】甘い香りに誘われて*極道若頭×大人の♀
「AILESの事はお袋に聞いてみろ」
「うん」
「なぁ結衣」
いつもより甘いバリトンで呼ばれた。
「なぁに?」
「決心ついたか?」
「何の?」
「極道の女になる決心だ。腹くくって生きていくってこと」
「隼とはずっと一緒にいられたらいいな」
隼は目を丸くして嬉しそうだ。
「でも、極道の女ってよくわからないの。腹をくくるにも、何がどうかわからなくて、危険があるっていうのはわかるけど、ここにいても良くわからないよ」
「結衣は、そのままでいい。俺が守ってやる」
「え?」
「黙って守られてりゃいいんだよ」
「それでいいの?」
「あぁ」
隼が私の後頭部にそっと手を回すと
「結衣…」
とっても甘いバリトンボイスで囁くと
チュッとキスを落としてきて
「結衣…返事は?」
どこまでも甘く優しいバリトン。
「ねぇ…それってもしかしてプロポーズ?」
「他に何だよ」
ちょっと機嫌が悪くなった。