淋しいお月様
私のことを興味本位で話しかけてきたのかと思った。

けれど、相田さんは心底私のことを心配してくれているみたいだ。

私はちょっとこころを許した。

「あの……叱られてるとこ、見たんですか?」

「うん。私、あの時ちょうど隣の席だったんだ。何もみんながいるところでお説教しなくてもねえ」

そう言って彼女は、お手製らしいお弁当を広げた。

「あ、一緒、いい?」

「う、うん……」

私はいつものコンビニおにぎりに、おでんのスープ(無料)というランチにちょっと恥ずかしさを覚えた。

「天野さん、いつもひとりでいるよね。ひとりが好きなの?」

相田さんはプラスチック製の箸箱から中身を取り出しながら言った。

「そんなわけじゃないですよ。ただ、友だち作るきっかけを逃したというか、東京出てきたばかりでまだ東京のひとに慣れないというか……」

私が思いを吐露すると、相田さんはあははっと笑った。

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