レンタル彼氏を使ってみました(仮)
係員さんが扉を開けて観覧車から降りる。
向かうのはすべての出口。
ロッカーに預けていた彼の荷物を取ってから退場する。
「もう時間だから、このまま帰るけど」
「うん」
「さびしい?」
「いなくなって清々するよ!」
彼の手が私の目の下に触れる。
そこで初めて、ぽろぽろと涙を流していたことに気づく。
「嬉し涙だから」
「バカだな」
ギューッと彼の腕の中に包み込まれる。
「好き……」
ポツリとこぼれた本当の想い。
「翔のこと、好き……」
「ありがとう」
「また、会える?」
「お前が望めばいつでも会えるよ」
「じゃあな」
「ばいばい……」
抱きしてる強さを弱めるとポンポンと頭をなで去っていく。
やっと、分かったよ、翔。
私の好きなタイプ。
なんにも飾らないそのままの翔が好き。