闇に響く籠の歌
幕間
『ねぇ、きいた?』


『何を?』


『また出たんだって』


『またって、例のヤツ?』


『そうそう』


『え、ホント? 今度はどこ?』


『えっとね。どっかの雑居ビルの一階だって』


『どっかって、嘘っぽい。ホントなの?』


『ホントだってば~ あたしの兄貴が聞いたんだもん』


『聞いたって、かごめかごめ?』


『そうよ』


『ホントならヤバいじゃん。あんたの兄さん、無事だったの?』


『生きてるよ。でも、死んでくれた方がよかったのに。アイツってウザいし』


『そんなこと言うものじゃないよ。でも、ホントだったんだ』


『だよ~ でもさ、なんか凄くね? かごめが聞こえたら人が死んでるって』


『思う思う。何かたたりでもあるの?』


『そんなのわかんない~ でもさ、たたりっていうより、楽しくない?』


『かも。気に入らないヤツがこれ聞いてたらって思うもんね』


『だよね。だよね』


『そうだ。また、そんなことあったら教えてよ。近くなら見に行きたいじゃん』


『分かる~ じゃ、お互いに情報交換』


『OK。じゃ、またね』


『うん。またおしゃべりしようね』


『今度はいつ?』


『いつでもいいじゃん。気が向いた時ってことで』



< 2 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop