LAST SMILE ~声を聞かせてよ~






長い、長い、

“麗華”への“遺書”。



それはすごく切なくて、悲しかった。




この祐兎って男の声、すごく苦しそうで、

時折聞こえた咳や、
掠れるその声は、聴いていて心苦しかった。



これ……“Blue sky”のリーダーじゃね?


絶対そうだ。







―ボーカルはお前だったな―






じゃあこの麗華って人も……
あの新しくメンバーになったっていう……。






―“遺書”ってやつ―







この人……死んだのか?


っていうか、桐生さんはこの人たちと
どんな繋がりがあって……。




「あー!!もうわけわかんね……」


なんなんだよこのCD。


こんなもん聞かせんじゃねぇよ。


別に関係ねぇけど、
全くもって知らない、赤の他人だけど!!



だけどさ、なんか嫌じゃん。


こんなさ、わけのわかんねぇ“遺書”とかってさ。


なんか聞いちゃいけないような気がするから
後味悪いっつうかさぁ!!




返しにいこうかな……。これ。



でも、何で俺が持ってるのかとか、
聞かれたらあれだし、


黙ってもとあった場所に戻すか。




「遺書……ねぇ」



あーあ。


今日はなんかすっげぇ疲れたな。



明日にするか?



でも、
これを探してたらなんか悪いし……。



もしかしたらこれ、
あの人の大事なものかもしれねぇし。



んでも、そんなものを
あんな隅っこに置いとくかな。普通。






俺の頭の中を色々な事がぐるぐる回る。


外に出るともうすでに暗くなっていて、
俺は再び車を走らせた。












―“麗華”って誰!?―













「はは。マジで面倒くせぇ……」



このCDのせいで散々だよ。


気分は下がるわ、香奈とは別れるわ……。


なんなんだよマジで……。



俺が病院に再び到着したのは
時計の針が8時を回った頃だった。






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