レンタルな関係。
 ふわん、と。

 シャンプーの香りが近づいて。

 むき出しの腕が、私のカラダをまたぐ。


「ちょっ…」


 かけていた布団を両手でつかんで、防御体勢をとった私に。


「俺じゃなきゃ、完璧にヤられてたぞ」


 言って。


「フラフラすんな。気をつけろ」


 口角を下げる。


 真顔になると、一層整う流川の顔。

 その下に続く上半身は、見惚れてしまった背中同様、引き締まっていて。

 
 急に、緊張してきて。


「…気をつけます」


 なぜか素直な言葉が口をつく。

 
 私の言葉に、ふっと笑った流川は。


「あんまり俺に気を許すと…」

「……」

「本気で襲うぞ」


 私の髪に手を伸ばす。


「まあ、でも。あの時みてーなことはしたくねーし」

「……」

「同意がなくちゃ、しない」

「……」

「それに」


 軽く、指を通された髪。


「俺に惚れてる女じゃねーと、つまんねーし」


 かぁ~…

 よく言えるな、そんなセリフ…


「惚れ…てないし」


 反応することないのに、意識して。

 私から出た言葉はそんな感じだったけど。


 それにも、ふっと笑った流川は。


「お前は絶対…」


 私の耳についてるピアスを軽く弾いて。


「俺に惚れる」


 耳元で動く指がくすぐったい。


 言葉よりそっちに神経が集中しちゃってたけれど。



「//////」


 
 がーーーー…

 その自信、どっから来るわけ?


 なんで言えちゃうわけ?


 真っ赤になって、何も言えない私に。


「早く起きろ」


 柔らかく微笑んだ流川。


「帰るぞ」


 立ち上がったその背中を見ながら私は。


「惚れる…か」


 次に流川に急かされるまで、

 キレイな背中を、

 ぼんやり見ていた。




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