True Love

繋がる




私の恋にも変化が出てき始めた。



「桐山、今週の日曜日って用事ある?」

金曜日の5限の数学の授業が終わり、杏ちゃんがノートを持って先生に質問に行く姿をボーっと眺めていたら突然後ろから柴崎くんはこう言った。

私は驚きながら振り返る。柴崎くんがこちらをまっすぐ見ていたので、いろいろな意味でドキドキしてしまう。

「今週の日曜日…?」

「うん」

「何もないけど、どうかした?」

そう聞くと柴崎くんは少し間を置いて答える。

「その日、部活が休みなんだけど買い物に付き合ってほしいんだ」

「…え!?」

予想外のお願いに思わず驚きを隠せなかった。

「私は…全然構わないけど、買い物って何を……」

「何話してるのー?」

私が柴崎くんに何の買い物なのかを尋ねようとしたところに杏ちゃんが戻ってきた。すると柴崎くんは間髪入れずに「別になんでも」と返す。

「ふうん、そっか」

さっきの話の内容は他の人には言ってはいけないということだろうか。

「…質問に行ってたけど、解決したの?」

気になることはたくさんあったけど、聞ける状況でなくなってしまったので私は杏ちゃんに他の話題を振って柴崎くんとの会話を中断させてしまった。

そのまま6限目の授業が始まり、いつ日曜日のことを聞こうかと考える。

だけどそうしていると後ろから四つ折りにされた小さな紙が差し出されてきた。杏ちゃんに少しでも見えないようにか、右利きの柴崎くんがわざわざ左側から。

そっとその紙を受け取り、机の下でそこに書かれている内容を読む。


『日曜日、10時にあの公園で待ち合わせでいいか?』


その内容に対して、私は振り返らずに首を縦に振って意思表示をする。

ドキドキと、胸の高鳴りが止まなかった。
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