とろける恋のヴィブラート
「じゃあ、また何かあったら連絡してくれ」


「はい、わかりました。一応コンサートのスケジュールとか決めてまたメールで連絡します」


 奏は、御堂の車から降りると小さくお辞儀をした。


「……りがとうな」


「え……?」


「なんでもない、早く行けよ」


 御堂が最後にボソリと呟いた気がして奏が振り向くと、御堂はぷいっと横を向いてアクセルを踏み込んだ。


(ありがとうなって言ったのかな……? まさかね)


 奏は、走り去っていく御堂の車を消えるまで見送った――。
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