あなたともう一度触れ合うための方法
その日は結局、私が終始警戒心を解くこともなくお開き。


唯香は彼と帰ることになり、私は一人駅に足を進める。唯香は帰り際耳打ちで『翼くん、本当にいい子だよ。オススメ』なんて肩を叩いてきたけれどとんでもない。


連絡先は無理矢理交換させられたけれど連絡なんてしない。都合のいい女になんて絶対ならないんだから。



「今井さん！！」



肩を叩かれ、振り向くと息を切らして走ってきたことがわかる翼くん。


どうしたんですか？と声を掛けるともう遅いから送らせてと。首を横に振る私。もうこれっきり会うつもりもないのに送ってもらう義理はない。


それなのに、立ち止まったままの私の手を握り歩き始める。振り払おうと腕を振ってみるも男の人の力には敵わない。



段々と人気がなくなってくる。薄暗い路地に連れ込まれ、壁に身体を押し付けられた。腕で私を囲うようにそこに閉じ込める翼くん。



「ちょ、ちょっと葉山さん。やめてください」



「俺はこれっきりにするつもりなんてないから。今井さんのこと唯香ちゃんから聞いててずっと会いたかったんだ」

< 2 / 34 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop