小さな主人と二人の従者～眠る前に～

深夜

「ギャレット！しつこいぞ！」

　ケネスが怒鳴っていようとギャレットは気にしていない。

「そう？」
「さっきからずっとだ！」

　彼のしつこさにケネスは苛立って仕方がない様子。

「俺の願いを叶えてくれたら、しつこくしないよ。ケネス」
「もうとっくに夜になっているんだよ。何を二人して騒いでいるの？」

　ジュリアは居間で騒いでいるギャレットとケネスのところまで行った。
　ケネスが義兄であることを思い出したジュリアは何度か呼び捨てをやめようかと本人に言ったところ、呼びやすいように呼べばいいことを言われたので、悩んだ末、呼び捨てのままにした。ケネスもジュリアを呼ぶときは様をつけて呼ぶことがある。兄でもあり、従者でもあると考えているから。

「ジュリア嬢、聞いて！ケネスにある魔法薬を作ってほしいから、お願いしていたら即答で却下するんだよ」
「何の・・・・・・薬なの？」

　ギャレットのことだから、良い薬でないことくらい想像できる。

「ジュリアとギャレットが入れ替わる薬だ」
「はい？」

　ギャレットは相変わらずジュリアやケネスを振り回すことが好き。そのため、ジュリア達は疲れることが多々ある。