あなたが作るおいしいごはん【完】
彼に深く堕ち始めた日
結納を交わして数日後
かねてからの約束通り私は
彼が1人で暮らしていたマンションへ
引越しを済ませて同棲を開始した。
『…家からキッチンスタジオまで
別に通えなくはないのに
親父がいつの間にか
“デビュー記念のプレゼント”だとか
言いながら勝手に
このマンションまで契約してて
強制的に引越しさせられたんだ。』
彼が苦笑いしながら
『…新居へようこそ。
新しい鍵だから失くさないでね。』
そう言って鍵を渡された
私には新しい我が家であり
これからずっと彼と生活を
共にしていく事になるこのマンションは
それぞれの部屋の一つ一つが
贅沢なほど広くて大きくて
キッチンも対面式で広々としている
2LDKのファミリータイプ型で
キッチンスタジオからも
車で5〜6分の所にあって駅から近く
2駅ほど揺られれば短大へも通え
スーパーも近くにあって
本当に便利で快適な場所に
彼は住んでいるんだと
私は感心するしかなかった。