Crescent



―――数時間前。


私は賑やかな繁華街を通り抜け、待ち合わせの公園に着いた。


暗くなって人の居なくなった公園は、しーんとしていて凄く静かだった。


昨日久しぶりに彼氏の隼人から電話が掛かって来て…



《琴音、話しがあるんだけど》



そう言われて公園に呼び出された。


先に着いて待っていると暫く経って隼人が走って来た。


「琴音ごめん。
待った?」


「ううん、そんなに待ってないよ」



とりあえず座ろう。そう言われてベンチに座った。



「別れてほしい」


「……えっ…?」


突然の別れの言葉にただただビックリして…
何がなんだか分からないよ。


「何で?
隼人は私の事嫌いになっちゃったの?」

「本当に、ごめん!
来月から地方の支社に行く事になったんだ。」


「大丈夫だよ。
ちゃんと待ってられるよ…?」


「無期限だから、いつ戻って来れるか分からない。
待っててほしくないんだ!」



「……んで……何でそんな事言うのっ」

「……鍵、返してくれ」


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