カットハウスやわた
星降へ
約束の時間より少し早く、インターホンが鳴った。


「おはようございます。熊野不動産より依頼を受けて参りました」


すぐにオートロックを解除して、中に招き入れた。まもなくすると、部屋のインターホンが鳴った。


「おはようございます」


インターホンを鳴らしたのは、熊野さん自身であった。引越業者と一緒にわざわざ来たようだ。


「おはようございます……」


辺りの様子を伺ったが、熊野さんの姿しか見当たらない。


「お荷物は、あれですか?」


熊野さんが、部屋のダンボールに目をやった。もしかして、引越業者って……。


「あの……熊野さん」


「これくらいの荷物なら、自分ひとりで楽勝ですよ」


……やっぱり……。
私がぼんやりとしているうちに、熊野さんは勝手に上がりこみ、ダンボールを運び始めた。




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