【完】私と先生~私の初恋~
初めての感情
私は小林早苗(こばやしさなえ)。


しがない小学6年生。


私が通う小学校は都内にあるけれど、都内でも田舎の方。


1学年に2クラスあればいい方の、田舎小学校だ。


そんな私は、チビでデブ、その上クリクリの点パ。


いわゆる典型的な虐められっ子。


でも、負けず嫌いな性格のおかげか不登校にはならなかった。


とはいえ、あまり楽しみのない憂鬱な学校生活を送っている。


そんなある日、年度の教職員入れ替えで来たのが関岡翔(せきおかかける)先生。


音楽の先生として赴任してきた。


背はすらりと高く、イケメンで、その上若い。


親切で、女子からの人気は絶大。


私はというと、ニコニコ淡々と敬語で話す先生に少し興味を覚えた。


だけど、取り巻きの女子に牽制され、特に先生と接点を持つことはなかった。


──そして、関岡先生が赴任してから早数か月。


夏休み明けだ。


秋の歌唱コンクールに向け、音楽の内容は歌唱が殆どになる。


根暗な私にはとてもきつい行事なのだが、今年は格別に厳しかった。


パート分けだ。


一人一人の歌唱力でソプラノ(高音、上パート)、アルト(低音、下パート)を決める。


問題はその仕分け方法。


ピアノの伴奏に合わせて、クラスの皆が見守る中、一人ずつピアノの脇に立ってサビのワンコーラスを歌うという地獄の様なものだった。


その上声が小さければもう一度歌い直すというオマケ付き。
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