限りなく黒くて大きな影が、私の全てを覆いつくしていた。


“助けて!”と叫びたくても、影に口を塞がれて意味のない音はその中へ消えてゆく。


いくら泣き叫んだところで、誰一人として助けてはくれない。

影があまりに巨大過ぎるから見えないのか、それとも他も黒い影となってしまったのだろうか。


影が、真っ赤な目を歪ませて私を嘲笑う。


あまりに無力な小さな私は、ただ泣くことしかできなくて。その影を退ける方法など何も知らなかった。





ハッ、と目が覚めた。周りを見渡して最近見慣れてきた天井を視界に入れ、やっと安堵する。


「……夢……か」


指で頬に触れれば、涙の跡であろうひんやりとした感触があって。やっぱり泣いたんだ、と他人事のように思う。


何年ぶりだろう、この夢を見たのは。


小学生のときは毎晩のように見て苦しんでたけど、卒業してからはあまり見なくなったのに。

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