初恋はカフェ・ラテ色

初めての夜

なにを作ろうかな……。

駅前のスーパーに寄って、食材を買ってから洋輔さんのマンションへ向かう。その足取りは軽やかだ。

でもエレベーターに乗ったところから心臓がドキドキしてきた。

洋輔さんに了解をとっているけれど、誰もいない部屋に入るのは、なにか悪いことをしているみたいな気分になる。

玄関前でわけもなくキョロキョロしてからカギを差し込んだ。

おそるおそる部屋の中へ入り、バッグをソファに置くと脇目もふらずキッチンへ向かう。

シンクの中に朝飲んだカップだろうか、お皿と一緒に置かれていた。手早く洗い物を済ませてから、お米をといで炊飯器のスイッチを入れる。

卵と三つ葉のお吸い物を作り、にんじんとねぎを入れた卵焼き、ほうれん草のおひたしも用意する。
メインはうなぎときゅうり、しょうがやシソなどのさっぱりする薬味を入れたまぜ寿司。
これなら失敗はないと、一応自信のあるメインだ。

作り終わった時、タイミングよく洋輔さんが帰ってきた。

玄関の開く音に急いで向かう。

「お帰りなさい!」

靴を脱いでいるところで、洋輔さんは笑ってただいまを言う。

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