女子高校生の友情の話をしよう
LOVE?FRIENDSHIP?
「あいつ、ちょっと可愛いからって調子のってるよね」


嫉妬丸出しの暴言を吐いたのは我が友、安田 由美子。


由美子の視線が向かう先には、仲睦まじいできたてほやほやのカップル。


私は肯定も否定もできず、唸り声でその場をやり過ごした。


水野さんと古池が付き合い始めたと聞いたときは、ああ、ついにか、と思った。


水野さんが古池を好きなのはなんとなく伺えたし、古池がほだされるのも時間の問題かなと。


水野さん、アイドルグループのセンター並に可愛いからね。


可愛らしい水野さんとかっこいい古池。


なかなか稀に見るベストカップルだ。


クラスメートとしては多少なりとも祝辞の気持ちも持ってしかるべきなんだけど、由美子の気持ちを慮るとそうもいかない。


由美子はずっと古池に片想いしていた。


一年の途中から、現在まで。


高校生の片想いが11ヶ月もつとは、結構な記録だ。


二年で同じクラスになって、めずらしく無邪気にはしゃぐ姿にそううまくいくかと冷笑を送ったのは私だがしかし、けして友の幸せを望んでいないわけではなかったのだ。


夏休みの祭り、古池の隣で浴衣を着ていたのは由美子だった。


といってもクラスの何人かと複数で行っていたわけだが、一生懸命おしゃれして、一生懸命話しかける由美子に古池もまんざらではなさそうに見えた。


新学期が始まってからも、由美子と古池は仲が良かった。


これはもしかするともしかするのではないかとにやにや見守っていたのだが現実はそううまくいかず、由美子が嫉妬と羨望に絡まれて身動きとれないうちに古池は別のところで綺麗に纏まってしまった。


「何あれ、超ぶりっ子」


由美子よ、嫉妬の言葉は醜いぞ



言わずとも、そんなこと由美子は分かっているだろう。


けれども変な方向に高い由美子のプライドが、傷ついたそぶりを見せることを許さない。


真っ直ぐな由美子は、涙の代わりに、醜い心根をさらけ出す。


ヒールのセリフを吐きつつも、眉を寄せ、どこか苦しげな由美子にわたしはそっと寄り添うことしか出来ない。


「由美子、新しい和菓子の店できたんだって。帰り寄ろうよ」


「和菓子!あんた相変わらず渋いね」


ようやく笑顔を見せた由美子に、私はほっと息をついた。
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